「不倫と浮気には、どのような違いがあるのだろうか」「パートナーが不倫して慰謝料請求ができるのはどのような場合なのかだろうか」などという疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
普段の生活の中で、不倫の定義を気にすることはほとんどありませんが、配偶者に不倫の疑いがある場合は大きな問題だといえます。配偶者が不倫をしている場合、慰謝料の請求など、法的な責任を追求できる可能性があります。ただし、確証がない場合は、本人を問い詰めたり、慰謝料を請求したりする前に、事実を確認することが大切です。
今回は、不倫の定義、不倫と浮気との違い、不倫と不貞行為との違い、慰謝料請求できる行為・できない行為、配偶者が不倫しているかチェックする方法などについて解説します。
1.不倫の定義・3つのポイント
辞書によると、不倫は以下のようなものとして定義されています。
“道徳にはずれること。特に、配偶者以外と肉体関係をもつこと。また、そのさま。
引用元:goo辞書“
もう少しわかりやすく整理すると、以下の3つの点を満たす場合に不倫であるといえるでしょう。
(1)当事者が既婚者であること
不倫の当事者のうち、少なくとも一方は既婚者です。双方が既婚者である場合は「ダブル不倫」などといわれることもあるでしょう。双方とも独身の場合は不倫とはいいません。
(2)肉体関係があること
当事者の間に肉体関係があることも不倫の条件だといえます。
二人きりで食事に行っただけ、キスをしただけという場合、一般的に不倫とみなされません。
(3)継続的に関係をもっていること
一夜限りの「ワンナイト」などと呼ばれる関係は不倫とはいいません。そのような関係は、浮気に分類されるでしょう。
不倫は、一時の火遊びではなく、継続的な関係のことを指します。双方が真剣に愛し合っていて、現在の配偶者と離婚して不倫相手と一緒になることを考えている場合もあるでしょう。
2.不倫と浮気との違い
不倫との違いがよく問題になるのが浮気です。不倫と浮気の違いについて紹介します。
(1)浮気は当事者が既婚者とは限らない
不倫の場合、当事者のうちの少なくとも一方は既婚者ですが、浮気は当事者が未婚か既婚かは関係ありません。独身でも、交際相手がいるのに他の異性と関係を持った場合、交際相手から「浮気をした」とみなされるでしょう。
(2)浮気は肉体関係があるとは限らない
不倫は一般的に肉体関係があることが条件ですが、浮気の場合、肉体関係の有無は関係ありません。肉体関係があった場合だけではなく、キスやハグをしただけでも浮気だとみなされることもあるでしょう。
「どこからが浮気か?」という問いに対する明確な定義はなく、人それぞれ答えが違います。中には「異性と連絡を取っただけで浮気」「二人きりで食事に行ったら浮気」などと考える方もいらっしゃるかもしれません。
(3)浮気は一時的な関係も含む
不倫は一般的に継続的な関係を指しますが、浮気は一時的な関係も含みます。一時的な気の迷いであるケースや、遊びである場合も多く、このような場合は、浮気が本気になることは少ないといえるでしょう。
3.不貞行為なら慰謝料が請求できる
不倫が、不貞行為に該当する場合、その事実を証明できれば、当事者に対して慰謝料を請求できます。
(1)不貞行為による慰謝料を請求できる理由
既婚者が配偶者以外と肉体関係を持った場合、不貞行為に該当します。不貞行為は、法律で認められた離婚理由にも該当する不法行為です。
不法行為によって、他人の権利や法律上保護される利益を侵害すれば、損害賠償請求ができると民法で定められています。つまり、不貞行為によって夫婦関係に損害を与えられた場合には、その行為をした当事者に対して、慰謝料を請求できるのです。
また、不貞行為は当事者双方による共同不法行為であるため、不倫したパートナーとその不倫相手の双方に対して慰謝料を請求できます。
(2)不貞行為で請求できる慰謝料の金額
不貞行為を理由に請求できる慰謝料の額に決まりはありません。請求額はご自身で自由に決められます。
しかし、実際には請求額通り支払ってもらえることは稀です。弁護士に代理人として交渉してもらったり、裁判を起こして争ったりすることになるでしょう。その場合は、過去の裁判例をもとにその額を決めることとなり、その相場は数十万円〜300万円程度です。金額は一般的に以下の要素を加味して決められます。
慰謝料の金額に影響する要因 | 増額になる場合 |
不倫後の夫婦関係 | 別居・離婚をした |
夫婦の婚姻期間 | 長い |
不倫前の夫婦関係 | 円満だった |
夫婦間の子どもの有無 | あり |
不倫していた期間 | 長い |
不倫をした回数 | 多い |
不倫相手と配偶者との子ども | あり |
不倫相手の事情 | ・既婚者だと知っていた ・悪意があった |
当事者の反省の度合い | ・不倫を認めない ・関係を続けている |
また、慰謝料の請求は当事者双方に対してできますが、支払ってもらえる額が倍になるわけではありません。例えば、不倫によって受けた損害を100万円と見積もった場合、請求できる慰謝料の合計額は100万円です。配偶者に100万円、不倫相手に100万円の合計200万円を支払ってもらえるわけではないという点に注意しましょう。
4.不倫で慰謝料請求できる行為・できない行為
当事者に慰謝料を請求できるのは、不貞行為すなわち肉体関係があった場合に限定されます。慰謝料請求ができる行為、できない行為の例としては以下のような行為が挙げられます。
慰謝料請求をできる行為や行動 | 慰謝料請求ができない行為や行動 |
・挿入を伴う性行為 ・口淫や手淫などの性交類似行為 ・二人でラブホテルに行った ・二人で同室に宿泊した | ・キスをした ・ハグをした ・手をつないだ ・メッセージのやりとりをした ・二人きりで食事や遊びに出かけた ・マッチングサイトに登録した ・配偶者以外の人に恋愛感情を抱いた |
慰謝料請求ができるのは、実際に肉体関係があった場合の他に、そのことを類推できる行動を確認した場合です。例えば、ラブホテルに二人で出入りしたり、相手の自宅に宿泊したりした場合や、宿泊を伴う旅行に二人きりで出かけた場合であれば、肉体関係があったと推認できるため、慰謝料の請求が認められるでしょう。
ただし、実際に慰謝料を請求する際は、これらの行動を証明できる証拠が必要です。パートナーと不倫相手が一緒にラブホテルに出入りする様子を撮影した画像や動画、ホテルなどを利用した際の領収書、性行為があったことを類推できるLINEやSNSなどのメッセージのやりとりなどが有効でしょう。
5.配偶者が不倫しているかチェックする方法
配偶者の不倫が、まだ疑惑の段階であるなら、まずは事実を確かめましょう。
(1)不倫していないか自分で確かめる方法
自分で配偶者の不倫を確かめる方法として以下のようなものが挙げられます。
方法 | 確かめること |
スマホやパソコンのチェック | ・LINEなどのSNSでのやりとり ・マッチングアプリの利用 |
クレジットカードの利用履歴やレシート | ・ホテルの利用の有無 ・デートで利用しそうなレストランの利用の有無 |
ドライブレコーダーやカーナビ | ・走行履歴(デートで使いそうなホテルやレストランに行っていないかなど) ・録画内容(車内の会話や様子) |
交通系ICカードの利用履歴 | ・普段利用しない駅をよく利用していないか(不倫相手の自宅や勤務先近くによく行っていないか) |
GPSの位置情報をチェック | ・ラブホテルや不倫相手の自宅に行っていないか |
車や自宅にICレコーダーを設置 | ・会話内容 |
尾行、張り込み | ・誰とどこで会っているかなど配偶者の行動 |
ただし、下手に動くと配偶者に調査していることを気づかれる可能性があります。実際に浮気をしている場合は配偶者が警戒して確認が難しくなりますし、浮気をしていない場合は信頼関係が崩れるリスクもあります。
さらに、プライバシーの侵害にあたるような行きすぎた行動をすれば、配偶者から損害賠償請求をされてしまうかもしれません。他にも、相手のスマホに位置情報がわかるアプリを無断でインストールしたり、SNSに無断でログインしたりした場合は刑事責任を問われる可能性があります。自分で調査をする場合は、くれぐれも無理はしないように気をつけてください。
(2)浮気調査のプロである探偵に調査を依頼する
不倫の調査は、簡単そうに思えるかもしれませんが、誰でもできることではありません。専門的な知識や経験のほかに、高度なスキルが必要な方法も多いため、確証を得たい場合は浮気調査のプロである探偵に依頼することをおすすめします。
浮気調査の実績を豊富に持つ探偵社であれば、聞き込みや張り込み、尾行など、高い技術と経験を要する方法で、真実を暴きます。慰謝料請求をする際に有利な証拠も手に入れられるので、確実に浮気の事実を確認したい場合は依頼を検討するとよいでしょう。
探偵に依頼すれば、調査結果を待つだけなので、自分で調査する自信がなかったり、自分の目で確かめることに耐えられなかったりする場合にもおすすめです。
まとめ
今回は、不倫の定義、不倫と浮気との違い、不倫と不貞行為との違い、慰謝料請求できる行為・できない行為、配偶者が不倫しているかチェックする方法などについて解説しました。
不倫とは、配偶者以外の人と、継続的に肉体関係をもつ不法行為です。配偶者が不倫をしている場合、慰謝料を請求できる可能性もありますが、そのためには決定的な証拠が必要です。ご自身で配偶者を尾行して証拠をつかめる可能性もありますが、決定的な証拠を入手する前に、配偶者に気づかれてしまうなどのリスクもあるので注意が必要です。確実に証拠を得たいなら、浮気調査のプロである探偵社に依頼する方がよいでしょう。
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