信頼していたパートナーや恋人から浮気をされ、復讐を考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。「自分を裏切ったパートナーのことを許せない」という気持ちを持つのは自然なことですが、感情の赴くままに復讐を実行すれば、あなた自身が大きな代償を支払うことになる可能性もあるので注意が必要です。
この記事では、浮気された側の復讐の事例、浮気の復讐で想定される法的なペナルティなどについて解説します。
1.浮気された側の復讐の事例
浮気された側が、浮気をしたパートナーや恋人に対して行う復讐の方法は人それぞれ異なります。主な仕返しの事例としては、以下のようなことが挙げられます。
- 浮気の妨害をする:デート現場・ラブホテルに乗り込む、不倫相手(交際相手)に軽い嫌がらせをするなど
- 自分も浮気をする:自分もパートナー以外の異性と浮気をするなど
- 共通の知人に言いふらす:共通の知人や親に浮気したことを言いふらすなど
- 法的に復讐する:パートナーに慰謝料を請求する、裁判を起こしてパートナーと離婚するなど
ただし、復讐の仕方によっては、法律違反に問われて、重い罰則を受ける可能性があるので注意しましょう。
2.浮気の復讐で想定される法的ペナルティ
以下のような方法で復讐をした場合、あなたが罰せられる可能性もあります。
- パートナーや不倫相手の実名をインターネットで暴露
- パートナーや不倫相手の勤務先に不倫の事実を暴露
- パートナーや不倫相手を脅す
それぞれのケースの法的ペナルティについて説明します。
(1)パートナーや不倫相手の実名をインターネットで暴露
浮気したパートナーや不倫相手の氏名や住所、個人の特定が容易な情報をインターネット上に暴露し、名誉を侵害する行為は、「名誉毀損罪」や「侮辱罪」に該当する可能性があります。
①名誉毀損罪
名誉毀損罪とは、インターネット上で公然と、パートナーと不倫相手による浮気の事実を摘示し、社会的評価を失墜させる罪です。
例えば、「結婚している〇〇〇〇は不倫相手〇〇〇〇と、毎週ラブホテルで性行為をしている」などの書き込みが該当します。
投稿者であるあなたが有罪となれば、「3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金」に処されます(刑法第230条第1項)。
②侮辱罪
侮辱罪とは、事実を摘示しなくても、公然とパートナーや不倫相手を侮辱した場合に問われる罪です。
例えば、パートナーや不倫相手に対して「盛りのついた売女(ばいた)」「性欲だけのクズ人間」などという書き込みをした場合などが該当します。
投稿者であるあなたが有罪となれば、「1年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」に処されます(刑法第231条)。
(2)パートナーや不倫相手の勤務先に不倫の事実を暴露
パートナーが浮気をしたという事実をパートナーの勤務先や取引先に暴露する行為が該当します。
不倫の事実が知れ渡れば、上司や同僚、取引先の担当者などから非難されたり、転勤を命じられたりするかもしれません。あなた自身も名誉棄損罪に問われ、罰則を受ける可能性があるので注意しましょう。
(3)パートナーや不倫相手を脅す
浮気をしたパートナーや不倫相手を脅す行為は、「脅迫罪」に該当する可能性があります。
脅迫罪とは、パートナーや不倫相手の生命や身体、自由、名誉、財産に害を加えると告知し、脅迫する罪です。
例えば、パートナーや不倫相手に対して「殺してやる」「浮気をばらしてやる」などという暴言を吐く行為が該当します。
また、「浮気を勤務先にバラされたくなければ、200万円を支払え」などと相手を脅して財物を受け取る行為は「恐喝罪」に当たる可能性があります。
脅迫罪・恐喝罪の罰則はそれぞれ以下の通りです。
- 脅迫罪:2年以下の懲役または30万円以下の罰金(刑法第222条第1項)
- 恐喝罪:10年以下の懲役(刑法第249条第1項)
恐喝行為をした場合は、10年に及ぶ懲役刑で処罰される可能性があるので注意しましょう。
3.適切に浮気の復讐をする方法
浮気の復讐方法によっては、浮気されたあなたの方が重い法的責任を負うおそれもあります。
法的責任を負うリスクを回避して適切な方法で浮気したパートナーと不倫相手の責任を追及するためには、以下のような方法を取りましょう。
(1)離婚調停・訴訟でパートナーの責任を追及する
浮気をした配偶者に対しては、離婚調停・訴訟で責任を追及することが可能です。
パートナーと離婚の話し合いがまとまらない場合、まずは家庭裁判所で「離婚調停(夫婦関係調整調停)」を行う必要があります。
離婚調停では離婚するかどうかの他、パートナーが支払う慰謝料についても話し合いが可能です。パートナーの浮気の証拠を提出できるなら、あなたにとって有利な条件で話し合いが進むことでしょう。
夫婦間で合意が得られず調停不成立の場合は、家庭裁判所に離婚訴訟を提起できます。なお、離婚訴訟だけではなく離婚に伴う慰謝料を求める訴訟を提起することも可能です。訴訟の場合も、パートナーの浮気の証拠を提出すれば、あなたに有利な判決を得られる可能性が高いです。
(2)パートナーの不倫相手に慰謝料請求をする
パートナーの不倫相手に対する慰謝料請求も可能です。慰謝料を請求する際は、不倫相手と慰謝料について協議をすることが一般的ですが、協議を行わずに慰謝料請求訴訟を提起してもかまいません。
裁判で慰謝料請求を行う場合、地方裁判所に訴訟提起を行います(慰謝料の請求金額が140万円以下なら簡易裁判所)。パートナーと浮気をしていた事実を示す証拠を提出すれば、原告(あなた)に有利な判決を得られる可能性が高いでしょう。
4.浮気した恋人に対する慰謝料請求は可能か?
配偶者が浮気をした場合は、基本的に慰謝料を請求できますが、恋人が浮気をした場合、慰謝料請求は困難です。ただし、恋人関係であっても、婚約していた場合や、内縁関係にある場合は、慰謝料を請求できるケースもあります。それぞれのケースについて説明します。
(1)婚約していた場合
既に婚約している場合、婚約関係を証明すると慰謝料請求が認められる場合もあります。相手からのプロポーズを承諾し、以下のような段階に進んでいるかどうかを確認してみましょう。
- お互いの両親との顔合わせを済ませている
- 恋人から婚約指輪を受け取った
- 結婚の挨拶をした
- 恋人から結納金や結納品の受け渡しがあった
- 既に結婚式場や新婚旅行の予約を済ませている
- どちらかが結婚を理由に退職した
- 結婚後の新たな住居を決めている
慰謝料請求を裁判で争う場合、「婚約が成立している」「婚約の成立を承知で被告が浮気をした」という事実を客観的に証明できる証拠が必要です。
(2)内縁関係にある場合
内縁関係とは、夫婦のような共同生活を送りながら、婚姻届を提出していない関係です。
慰謝料請求を裁判で争う場合、内縁関係にあると認められる要件として、「婚姻意思を有する」「婚姻意思に基づいて共同生活をしている」の2つを満たす必要があります。
具体的には以下のようなケースであれば、慰謝料請求が認められる可能性があります。
- 婚姻届は未届けなだけで、お互いが夫婦であるという意識を持っている
- 扶養配偶者の届出を済ませている
- 家族や周囲にパートナーとして紹介していた
- 親族はもちろん友人や知人からも、夫婦であると認識されていた
- 家計を共にしている
- 長い期間にわたり同居している
5.浮気の責任を適切に追及する方法
パートナーや不倫相手に対して適切な方法で浮気の責任を追及するためには、確実な証拠を掴み、法律に則った手続きを進める必要があります。浮気調査のプロである探偵、法律のプロである弁護士に依頼して適切に浮気の責任を追及する方法について説明します。
(1)探偵に依頼し確実な証拠を掴む
探偵に依頼すれば、パートナーと不倫相手の浮気の事実を証明する決定的な証拠を得られる可能性が高いです。
パートナーや不倫相手に対し、離婚や慰謝料に関する調停を申し立てたり、訴訟を提起したりする場合、浮気の証拠の提出が求められます。確実な証拠と裁判官から認められるためには、以下のような画像・動画の撮影が必要です。
- パートナーと不倫相手との性行為の画像・動画
- パートナーと不倫相手とが性行為をしたと推認できる画像・動画
性行為をしたと推認できる画像・動画とは、例えば2人がラブホテルに出入りしている画像等が該当します。ただし、素人では確実な証拠の収集が非常に困難です。探偵に浮気調査を依頼すれば、豊富な調査経験・ノウハウ、高性能な撮影機材・撮影技術を駆使し、浮気現場の撮影が可能です。
探偵が浮気調査の結果をまとめた「調査報告書」や、証拠能力を有する画像や動画などを裁判所に提出すれば、調停・訴訟を有利に進められることでしょう。
(2)弁護士へサポートを求め、有利に復讐を進める
弁護士に相談すれば、以下のようなアドバイスを受けられるでしょう。
- 浮気の証拠があれば、パートナーは有責配偶者となり、パートナーの方から離婚請求ができなくなる
- 弁護士が夫婦の間にたって協議を行い、離婚条件や慰謝料の調整を図ることも可能
- 協議が不調に終わった場合の調停や訴訟の流れなど
弁護士にサポートを依頼すれば、調停の申し立てや訴訟の手続きを全て任せることが可能です。
どのような手順で離婚や慰謝料を進めていくのかがわかるので、心の余裕も生まれます。弁護士は、あなたの立場に立ち、調停・訴訟での主張・立証に尽力してくれるでしょう。
まとめ
この記事では、浮気された側の仕返しの事例、浮気の復讐で想定される法的ペナルティなどについて解説しました。
あなたを裏切ったパートナーや不倫相手に復讐したいと思うのは自然な感情といえます。ただし、復讐の方法によってはあなた自身が刑罰を受ける可能性もあるので注意しましょう。適切な方法で、パートナーと不倫相手の責任を追及するためには、プロの力を借りることをおすすめします。
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