配偶者の浮気を理由に離婚や慰謝料の請求を考えているなら、証拠は非常に大切です。決定的な証拠がなければ、配偶者は簡単には浮気を認めないでしょう。また、当事者同士の話し合いがこじれて、調停や訴訟など裁判所での手続きに移行した場合は、事実を立証できる証拠が重要な役割を果たします。
ご自身の望む未来を手に入れるためにも、まずは確固たる証拠を手にいれましょう。
この記事では、浮気調査で得られる証拠の役割、証拠として有効なもの、証拠として認められないもの、証拠を集める際の注意点などについて解説します。
1.浮気調査で得られる証拠の役割
浮気調査をして証拠を得ることには、どのような意味があるのでしょうか。まずは証拠の果たす重要な役割について確認しておきましょう。
(1)法定離婚事由があることを立証できる
客観的な証拠により配偶者の浮気を立証できれば、法定離婚事由があることを証明できます。法定離婚事由とは、法律で離婚を認められる理由のことです。該当する場合は、訴訟による離婚請求ができます。
法定離婚事由には①不貞行為、②悪意の遺棄、③3年以上の生死不明、④回復見込みのない強度の精神病、⑤その他婚姻を継続しがたい重大な理由の5つがあり、配偶者の不貞はその一つです。
そのため、浮気の事実を立証できる証拠があれば、離婚が成立する可能性が高いでしょう。
(2)不貞の慰謝料を請求できる
浮気が事実であった場合、配偶者と浮気相手に対して慰謝料を請求できます。浮気は不法行為であり、損害賠償請求の対象となるからです。
ただし、慰謝料を請求するためには不法行為を立証できる証拠が必要です。証拠がなければ、相手が浮気を認めず離婚や慰謝料の支払いに応じない可能性があります。訴訟を起こしたとしても、請求の根拠がないとして認めてもらえないでしょう。
2.浮気・不倫の証拠として有効なもの
浮気や不倫を理由に、離婚や慰謝料を請求する場合、配偶者と浮気相手との間に肉体関係があったことを証明できるものが必要です。有効な証拠として認められるものを紹介します。
(1)写真や動画
浮気の証拠として最も有効なのは、肉体関係を持っている現場の写真や動画です。しかし、そのようなものを入手するのは、現実的にはなかなか難しいでしょう。そのため、実際には二人でホテルや相手の自宅を出入りするシーンや、一緒に旅行に行ったことがわかるものを証拠として利用します。
食事をしているだけ、手を繋いで街を歩いているだけ、といったものは、証拠として不十分です。肉体関係があることを推測できる必要があることに注意しましょう。
(2)LINEやメールなどやり取りがわかるもの
LINEやメールなどで、二人で宿泊したことや肉体関係を示唆するようなやりとりをしていれば、それも証拠になります。この場合も、単に食事に行っただけ、手をつないだだけ、キスをしただけなど性行為があったかどうかがわからない内容であれば証拠としては不十分です。単にお互いの好意を伝え合っているだけの内容も、不倫の証拠としては認められません。
(3)会話の録音データ
電話など、当事者同士での会話を録音したデータも、証拠として有効だと認められる可能性があります。ただし、肉体関係があったことが容易に推測できる内容でなければなりません。
また、本人が浮気について自白している音声データも有効です。その場合、事実を認めるだけでなく、日時や場所など具体的な情報も含まれていることが望ましいでしょう。
(4)クレジットカードの明細や領収書
ラブホテルなどの利用明細は、浮気の証拠として有効です。
一方、レストランや映画館などの利用明細は、肉体関係があったことの証明にはならないため、浮気の証拠としては不十分です。
(5)手紙やプレゼント
肉体関係を推測させる内容であれば、手紙やカードも浮気の証拠として有効です。
また、アクセサリーなど高価なプレゼントをもらったり贈ったりした形跡も、特別な関係であることを推測させます。決定的なものとはいえないため、他の証拠と組み合わせる必要はありますが、証拠として利用できる可能性はあるでしょう。
(6)カーナビやドライブレコーダーの履歴
普段の移動に車を使用している場合、カーナビの履歴が浮気の証拠となることは多いです。目的地の履歴にラブホテルの情報が入っている場合や、走行履歴の経路に浮気相手の家などがある場合は、証拠として利用できるでしょう。
また、ドライブレコーダーに車内の音声などが録音されている可能性もあるので、あわせて確認するとよいでしょう。
(7)交通系ICカードの利用履歴
Suicaなどの交通系ICカードには、利用履歴が記録されており、自動券売機で確認、印字できます。相手の自宅の最寄り駅などを頻繁に利用しているなら、証拠となる可能性があるでしょう。ただし、単体では証拠能力が弱いため、他の証拠と組み合わせる必要があります。
(8)GPSデータ
GPSを利用すれば相手の行動履歴がわかり、証拠として使える可能性があります。ただし、行動履歴だけでは浮気の証拠としては不十分な場合も多いでしょう。GPSで得た位置情報を元に、待ち伏せをし、ラブホテルに入っていく場面を撮影するなど、補助的に使うのがよいかもしれません。
(9)第三者による証言
友人や職場の同僚など第三者による証言が有効な場合もあります。裁判などで利用する際は、その内容を陳述書として書面にし、本人の署名、押印をもらって提出します。
(10)子どもの血液型やDNA鑑定の結果
不倫の疑いがある女性に子どもが生まれた場合、その子の血液型がその女性と配偶者との組み合わせからではあり得ないものであれば浮気の証拠になります。さらに、DNA鑑定をすれば、より強力な証拠を得ることができるでしょう。
(11)探偵による報告書
浮気調査の実績を豊富に持つ探偵社に調査を依頼すれば、その結果を報告書にまとめてもらえます。報告書にはラブホテルや相手の自宅を出入りする写真のほか、滞在時間や二人の様子が時系列に記録されているので、有効な証拠として使えるでしょう。
3.浮気・不倫の証拠として認められないもの
肉体関係があることを証明できたとしても、以下のようなものは証拠として認められません。
(1)捏造や加工をしたデータ
捏造や加工の疑いのあるものは証拠として認められません。使えそうな証拠がないからといって写真を加工したり、メールを改ざんしたりするようなことはやめましょう。
また、捏造などを疑われないためには、写真より動画が有効です。写真しか撮れない場合は、同じ場所で連写するとよいでしょう。信ぴょう性が高まり、有効な証拠とされる可能性が高まります。
(2)盗聴・盗撮など違法行為によって得た情報
他人の家に勝手にICレコーダーを仕掛けたり、相手の車などにGPS発信機を取り付けたりして情報を得る行為は盗聴や盗撮であり、違法行為です。プライバシーの侵害があったとして、相手に責任を追及される可能性もあるため、絶対にやめましょう。本来なら請求できるはずの慰謝料を請求できなくなる可能性もあります。
(3)勝手にインストールしたアプリによって得た情報
本人の許可なく、浮気防止アプリなどをスマートフォンにインストールするのもやめましょう。証拠として無効とされる可能性があるうえ、違法行為として訴えられる可能性もあります。
4.浮気・不倫の証拠を集める際の注意点
証拠集めの際には以下のことに注意しましょう。
(1)法律に抵触する行為はしない
違法行為によって入手した証拠は無効とされます。ご自身が責任を追及され、不利な立場に追い込まれる可能性もあるため、絶対にやめましょう。
離婚や慰謝料の請求をしたいのに、証拠が手に入らないという場合は、プロに相談してください。法律に違反しない証拠の収集方法についてアドバイスを受けたり、代わりに証拠集めをしてもらったりすることが可能です。
(2)当事者に気づかれないように気をつける
確実に有効な証拠を入手し、実際に請求をするまでは、浮気調査をしていることは相手に悟られないようにしましょう。本人たちに気づかれると、警戒されたり、証拠を隠滅されたりする可能性があります。証拠が手に入らなければ、離婚請求や慰謝料請求が難しくなるため、注意しましょう。
5.浮気調査で得られる証拠についてよくある質問
ここでは、浮気調査で得られる証拠についてよくある質問に回答します。
(1)1日だけでも証拠はつかめますか?
確実に浮気をすることがわかっている日であれば、1日だけの調査で浮気の証拠をつかめる可能性があります。ただし、そのためには事前に情報を集めておき、不倫相手と会う日を確実に把握する必要があります。
また、裁判では1回の浮気では証拠能力が低いとされる可能性もあります。浮気の回数が多いほど、慰謝料を多くもらえる可能性も高まるので、可能であれば、もう少し長い期間調査を行う方が望ましいでしょう。
(2)なかなか証拠がつかめない場合はどうすればよいですか?
ご自身で証拠を入手することが難しい場合は、浮気調査のプロである探偵社に依頼することを検討しましょう。
浮気の調査は簡単そうに思われるかもしれませんが、成功させるためには専門的なスキルやノウハウが必要です。探偵事務所に依頼すれば、本人たちに気づかれないよう尾行や張り込みを行ってもらえるため、有効な証拠を入手できる可能性が高まります。調査の結果をまとめた調査報告書は強力な証拠として活用できるでしょう。
まとめ
この記事では、浮気調査で得られる証拠の役割、証拠として有効なもの、証拠として認められないもの、証拠を集める際の注意点などについて解説しました。
浮気を原因として離婚や慰謝料の請求をするなら、証拠が何より大切です。証拠がなければ本人が浮気の事実を認めない可能性もありますし、訴訟になった場合は裁判所にも認めてもらえません。ただし、浮気調査は思っている以上に難しく、自力で行うには限界があります。プロの力を借りて確実に証拠を手に入れる方がよいでしょう。
クロルでは、相談者さまのご不安な気持ちを受け止めながら、相談者さまのご希望や状況に適した提案をさせていただいております。
「パートナーが浮気しているかどうか確信が持てない」「浮気調査をするべきか迷っている」というご相談にも対応しておりますので、一人でご不安な気持ちを抱えずにお気軽にご相談ください。